医療法人社団 誠馨会 千葉メディカルセンター

心不全

心不全について

心不全とは、「全身に血液を送るポンプである心臓の機能が不十分な状態」を指します。

主要臓器の酸素需要量に見合うだけの血液量を十分に拍出できない状態になることで、息切れやむくみ、倦怠感などで始まり、徐々に増悪し、生命を縮めてしまう病気です。

心臓機能が悪化する要因は、多岐に渡りますが、代表的なものとしては、高血圧、心臓の栄養血管の血流障害(虚血性心疾患:狭心症や心筋梗塞)、心臓内の弁の障害(心臓弁膜症)、先天的な心臓障害(先天性心疾患)、心臓の筋肉自体の異常(心筋症)、脈が乱れる疾患(不整脈)が挙げられます。

心不全の5年生存率は50%と決して良いものではありません。高齢化を迎えている我が国では、心不全の患者さんは今後も爆発的に増え続けていくと推測されております。

スピーディーで細やかなチーム医療

急性心不全は専門医による適切な初期対応が、生死を分ける状態です。当院では、十分なトレーニングを受けた、循環器専門医、看護師、臨床工学技士、放射線技師たちが、スピーディーで細やかな連携を取り、急性心不全の患者さんに最善の救急医療を提供できるように全力を尽くしております。

多くの患者さんは一命を取り留めていただき、その後は「心不全の原因となる病気の治療」と「おくすりの治療」に進みます。「おくすりの治療」としては、具体的には「体から水分を取り除く薬(利尿薬)」と「心臓を守る薬(心保護薬)」の両者を使うことが一般的です。心保護薬としては、現在、科学的に有効性(エビデンス)が証明されている薬剤がいくつかあります。それぞれの病態に合わせ安全かつ適切に導入、継続服薬ができるように、医師、薬剤師、看護師が一体となり、服薬管理いたします。

心不全の治療もできる新しいデバイスを始めました

専任理学療法士による心臓リハビリテーション

急性心不全が治療により改善しても、それで治療は終わりではありません。症状が取れただけであり 心不全が治ったわけではなく、不安定な時期といえます。以降は慢性心不全の状態となります。慢性心不全は感染や生活習慣の悪化などを契機に容易に急性増悪を発症し再び入院となります。この急性増悪を防ぎ、心機能や身体機能・認知機能などの低下速度を少しでも遅くするために、重要なのが心臓リハビリテーションです。

当院では循環器学会認定専門医の指導のもと、心臓リハビリテーションを専任とする8名の理学療法士(うち専従の心臓リハビリテーション指導士2名)が心不全の患者さんのリハビリテーションに従事しております。

心不全急性期より早期のアプローチを開始します。ベッド上での呼吸訓練や軽い運動から開始し、薬を飲むだけでは得られない、からだのコンディション向上に努めます。そして症状の安定を確認しつつ、少しずつ運動量を増やしたり、歩く距離を伸ばしたりして、もとの日常生活に近づけていきます。

退院に向けた支援

退院を迎えるまでには、患者さんの退院後の生活まで見据えた生活指導を心がけ、理学療法士による適切な運動指導に加え、看護師によるパンフレットを用いた日常生活指導、栄養士による家庭に合わせた栄養指導、薬剤師による具体的な内服指導、といった他職種の医療専門職チームで退院時指導を行い、総合的に心不全に対する治療、予防に努めています。

循環器内科